大判例

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東京地方裁判所 昭和36年(ワ)3242号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕昭和三三年九月四日、訴外芝信用金庫を貸主、訴外ヱビス建材株式会社を借主として、継続的金銭消費貸借契約が締結され、この契約に基くヱビス建材の債務を担保するため、訴外森本マサミがその所有の本件不動産につき債権元本極度額を一〇〇万円とする根抵当権を設定し、かつ代物弁済の予約をして、根抵当権設定登記および代物弁済予約に基く所有権移転請求権保全の仮登記を経た。その後芝信用の継続的貸付により、昭和三五年八月頃にヱビス建材の債務は八〇万円に達していたところ、原告が同年九年一〇日右債務を芝信用に弁済するとともに、その承諾を得てこれに代位し、同月一六日右根抵当権移転および代物弁済の予約にもとづく所有権移転請求権移転の各附記登記をした。そこで原告は、昭和三六年三月六日ヱビス建材および森本に対し、代位弁済により有する求償権行使のため、本件土地につき代物弁済予約完結の意思表示をしたが、一方本件土地については脱退被告が昭和三三年一〇月六日受付による抵当権設定登記を経ており、次いで昭和三七年三月二八日引受参加人が右抵当権を譲り受けてその旨の附記登記を経ていた。原告は、引受参加人の右抵当権登記は原告の所有権移転請求権保全の仮登記に遅れており、原告に対抗できないものであるとして、原告が右仮登記の本登記手続をするについての承諾を訴求した。

引受参加人は抗弁の一つとして、弁済による代位の効果として原告が芝信用の有した債権その他の担保権を取得するのは、代位弁済にもとづく求償権を確保するためにすぎないから、本件においては八〇万円の債権およびこれが担保のためにする極度額一〇〇万円の根抵当権を取得するのみで、代物弁済の予約完結権まで取得するものではない、と主張した。

判決は、右抗弁について、代位弁済の効果を次のように判示して、これを斥けた。曰く、

「引受参加人は弁済による代位によつては代物弁済予約上の権利は移転しないと主張するところ、民法第五〇一条は、『債権ノ効力及ヒ担保トシテ其債権者カ有セシ一切ノ権利』と規定するのみで債権者の有した代物弁済予約上の権利が弁済者に移転するかどうかは必ずしも明らかではない。しかし同条の立法趣旨は代位にもとづく求償権の確保をまつたからしめんとするものであり、代物弁済の予約は所有権移転請求権保全の仮登記と結びついて債権確保のためになされるものであり、当事者もこれを期待しているものと解せられるから、代物弁済の予約上の権利も結局当該債権に従たる権利として代位の対象たるものと解するのが相当である。この場合代位の効力として移転するのは、あくまでも求償権確保の目的を出るものではないから、要は右求償権を満足せしめれば足り、予約義務者は目的物の価額が求償債権額を超えるときはその差額の給付請求権を有するものと解するのを相当とする。しかし予約上の権利とのものが移転しないとする右主張は理由がない。」

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